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政府は17日午前、安全保障会議と閣議を開き、新たな「防衛計画の大綱」と来年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)を決定した。新たに防衛政策の概念として情報収集や警戒監視を重視する「動的防衛力」の構築を掲げた。対中シフトを鮮明にし、南西方面での海・空戦力強化策として沖縄の戦闘機部隊を増強するとともに、先島諸島にある離島への陸上自衛隊の部隊配置も明記した。
民主党が関係強化を目指す社民党への配慮で明記することは見送った「武器輸出三原則」の見直しについては、装備品の国際共同開発が世界の趨(すう)勢(せい)であることを指摘。その上で「大きな変化に対応するための方策について検討」と将来の三原則緩和に含みを残した。
南西シフトの半面、戦車を約600両から200両削減することに伴い、戦車を重点的に配備した北海道を管轄する北部方面隊のうち2師団や11旅団などは規模を縮小する。
平成16年に策定した現大綱との違いとして、事態の展開に間断なく対応することの重要性を強調した。中国が「漁民」を装った海上民兵を尖閣諸島に上陸させるなど「犯罪行為」か「軍事行動」か見極めにくい事態への対処を見据えたものだ。日米同盟に加え、価値観を共有する韓国やオーストラリア、ASEAN(東南アジア諸国連合)、インドとの協力強化も特記し、地域や国際社会の「懸念事項」とした中国を強く意識した大綱となった。
動的防衛力は、部隊を全国に均等配備し、「存在」することによる抑止効果を重視した「基盤的防衛力構想」に代わる概念。新大綱では「運用」に力点を移し、平素からの情報・監視・偵察(ISR)の強化と事態に即応できる態勢に転換を図る。そうした活動の「常続性」も動的防衛力の根幹をなすと位置づけた。
具体的には、中国海軍の活動活発化を念頭に、海上自衛隊の潜水艦を16隻から22隻態勢に増強し、南西諸島周辺海域で監視能力を高める。航空自衛隊那覇基地の戦闘機部隊も1個飛行隊(定数18機)から2個飛行隊に増やし、領空侵犯に備える。艦船や航空機をレーダーなどで探知できるよう陸自は与那国島(沖縄県)に「沿岸監視隊」を配置。地対艦誘導弾も配備する。
核・弾道ミサイル開発を進める北朝鮮への対処能力では、弾道ミサイルを迎撃する海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載型のイージス艦を現行の4隻から6隻に引き上げる。これによりミサイルから日本全土を防護するため、常時、2隻のイージス艦が展開できる態勢が担保される。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)も北海道と東北、沖縄の空自高射群に新たに配備し、全国をカバーさせる方針を正式に打ち出した。
次期主力戦闘機(FX)については中期防で機種を特定せず、「新戦闘機」として12機導入すると盛り込み、防衛省は年明けにも米側にF35ライトニング2の技術情報開示を求める。
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政府は17日午前の閣議で、今後10年程度の安全保障政策の基本方針となる「防衛計画の大綱」(防衛大綱)と、11年度以降5年間の防衛費総額を約23兆4900億円とする中期防衛力整備計画(中期防)を決定した。大綱では、中国の軍事力増強と海洋進出を「地域・国際社会の懸念事項」と指摘し、これまで手薄だった南西諸島に自衛隊を配置するなど、機動性や即応性を重視する「動的防衛力」の構築を打ち出した。
防衛大綱の改定は04年以来6年ぶりで、民主党政権では初めて。1976年に策定された最初の防衛大綱以来の指針だった「基盤的防衛力」構想から転換したのが最大の特徴だ。同構想は旧ソ連を敵国として想定し、外国からの侵攻を抑止する必要最小限の防衛力整備を図る考え方で、これに基づき、北海道に戦車部隊を重点配備するなどの現行態勢が構築されてきた。
新大綱は中国への懸念のほか、北朝鮮が核・ミサイル開発に加え軍事的な挑発行動を繰り返している問題を指摘。こうしたアジア太平洋地域の不安定な安全保障環境に対応する新たな考え方が動的防衛力で、その意義を「防衛力を単に保持することではなく、平素から情報収集・警戒監視・偵察活動を含む適時・適切な運用を行い、我が国の意思と高い防衛能力を明示しておくこと」とした。
具体的には、海上・航空自衛隊を重点的に整備。潜水艦は現大綱の16隻から22隻に、弾道ミサイルの迎撃能力を持つイージス護衛艦も4隻から6隻に増やす。冷戦型の装備は縮減し、陸上自衛隊の戦車は約600両から約400両へ減らす。
陸自定員は1000人減の15万4000人(即応予備自衛官7000人を含む)とする一方、島しょ部を「自衛隊配備の空白地域」とみなし、特に南西地域に陸自の「沿岸監視部隊」を新たに編成・配置することが中期防に盛り込まれた。
武器輸出三原則の見直しについては、反対する社民党に配慮し明記は見送ったが、国際共同開発が「先進国で主流になっている」として禁止対象から外す必要性を指摘。「このような変化に対応するための方策を検討する」と将来的な見直しの検討を示唆した。
国連平和維持活動(PKO)への「参加の在り方を検討する」として、紛争当事者の合意などを条件とするPKO参加5原則の緩和を検討する考えも示した。国家安全保障に関する首相への助言組織を設置することも明記した。より若い自衛隊員を増やすため、幹部の割合を減らすなど「人事制度改革」も実施する。
中期防の総額は前回(05〜09年度)から7500億円減だが、10年度予算並みの水準は維持された。防衛大綱の策定は76、95、04年に続き4回目となる。【坂口裕彦】
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